第68回日本不整脈心電学会学術集会 不整脈心電学2022's ~新たなイノベーションへ~

田原淳博士 生誕150周年記念ミュージアム―田原結節は時を超えて-

1906 年、「Das Reizleitungssystem des Säugetierherzens(哺乳動物心臓の刺激伝導系)」という主題に加えて、「Eine anatomisch-histologische Studie über das Atrioventrikukarbündel und die Purkinjeschen Fäden(房室束とプルキンエ線維の解剖学的・組織学的研究)」という副題を付けた単行本が発行されました。著者は田原淳(たわらすなお、1873年7月5日 ~1952年1月19日)。彼は哺乳動物の心臓から得た莫大な数の連続パラフィン切片を顕微鏡観察し、心房と心室を結ぶ筋束を発見しました。この未知の筋束は電気刺激を心房から心室に伝える系であると考え、「刺激伝導系」と名付けました。

田原は心臓の房室結節(田原結節)の発見者として、世界の医学界に広く知られていますが、原著から以下の新事実が判明しました。

  • ① ヒス束の上端が小型の心筋細胞の集団(房室結節;田原結節)に連なる
  • ② 結節細胞は心房筋細胞とも移行する
  • ③ ヒス束の下端は右脚と左脚に分かれ、それぞれ心室心内膜下のプルキンエ線維網 に連結する
  • ④ プルキンエ線維は心室筋細胞に移行する
  • ⑤ プルキンエ線維とヒス束も刺激伝導系の一経路である

田原論文は翌年のキース・フラックの洞房結節の発見につながるとともに、心拍動の神経原説を否定し、筋原説を裏付ける決定打となりました。田原の刺激伝導系の発見は、心電図の解読やペースメーカーの開発に繋がっていきました。

次年2023年は田原淳博士の生誕150年にあたる記念すべき年です。田原博士に関する資料を展示しますので、業績を改めて振り返るとともに、想いを受け継ぐ機会としてはどうでしょうか。(島田達生)

田原淳博士 生誕150周年記念ミュージアム