12誘導心電図での危険な心疾患の見分け方

演 者 小川 正浩 福岡大学病院循環器内科

 12誘導心電図から得られる心電情報は、単一ないしは少数誘導の心電図だけでは得難い多くの情報を有しています。例えば、心臓の電気的特性、心臓ないしはその周囲の形態的肥大拡大や空間的異常、心筋虚血や壊死、自律神経バランス及び電解質や代謝異常による二次性変化などの様々な病態や状況を反映します。致死性不整脈は直接生死に関わる危険な不整脈ですが、12誘導心電図の記録は、原因となる心疾患の有無や不整脈そのものの兆候や発生の特徴を察知また把握することを可能とし、その後の治療や予後を左右する大変重要なものです。したがって、心電図モニターのみでなく、12誘導心電図の的確な判読能力は、心疾患の病状や診断とそれに続く発症予知、予防や治療により大きく貢献するため、読解力を深めておく必要があります。本講座では、12誘導心電図から得られる所見から、危険性が高い心疾患、不整脈やその症候群の心電図を判読し、その特徴やポイントを皆さんと共に解析したいと思います。