J波症候群(Brugada症候群・早期再分極症候群)のリスク階層化

演 者 清水 渉 日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野

Brugada症候群はcoved型ST上昇(type 1心電図)を認め、夜間睡眠中や安静時に心室細動(VF)を発症し突然死の原因となる。臨床診断は心電図診断で、Naチャネル遮断薬投与の有無にかかわらず、高位肋間 (V1、V2が第3または2肋間) 記録を含めた少なくとも1誘導において、J点0.2mV以上のtype 1心電図を認めれば、VFや失神などの症状がなくても診断可能であり、特に無症候例ではリスク階層化が重要である。最近本邦から、致死性イベントの予測にSCN5A遺伝子の有用性が報告されたが、その他のリスク因子としては、自然発生type 1心電図と男性が中・高リスク、非不整脈原性失神、2連期外刺激以下でのVF誘発、突然死の家族歴が中・低リスクとされている。一方、Naチャネル遮断薬誘発type 1心電図のみの無症候症例のリスクは低いとされている。本講座では、多くが本邦からのエビデンスに基づくBrugada症候群とその類縁疾患で同じJ波症候群の範疇におかれる早期再分極症候群(ERS)のリスク階層化について概説する。